モロッコに住む日本人の現地コラム  vol.48

皆さまこんにちは!
モロッコ現地からフレッシュなコラムが届きました♪
今回はどんな情報なのかドキドキ(o´艸`)
さてさて、始まります!
 
 
 
 

【 マルチリンガルなモロッコ人のジレンマ 】

 
こんにちは、モロッコ在住のユキです。
 
英語を話す日本人は現在では珍しくありませんが、それでも日本人全体から見たらまだ少数派ですよね。
英会話スクールの繁盛ぶりを見れば一目瞭然です。
 
それに対してモロッコ人はというと、バイリンガルは当たり前。
多くの人は、なんと3言語以上を話せるマルチリンガル!
 
 

 
 
「うらやましい!」と思いますよね!私も思います!
ただその一方でモロッコに住んでいるうちに、マルチリンガル社会ならではの問題やジレンマもあることがわかってきました。
 
今回はそんなマルチリンガル社会の実情について、ご紹介してみたいと思います。
 
 
 
 
 

【 公用語はアラビア語。だけど・・・ 】

 
モロッコの公用語はアラビア語です。
だからモロッコ人は、アラブ諸国の人たちともコミュニケーションできるのね!・・・と思ったら大違い。
なぜならモロッコ人たちが話すのは、「ダリジャ」と呼ばれるモロッコ方言だから。
 
 

 
 
知人にアルジェリア系フランス人の人がいるのですが、私の夫が彼とアラビア語で話したときのこと。
その時の様子と言ったら、まぁ見事に噛み合っていない笑
 
アルジェリア系の彼曰く、「モロッコなまりが強くて、よくわからなかった~」とのことでした。
モロッコとアルジェリアって、隣どうしの国なんですけどね。
それでもわからないレベルのなまり具合らしい。
 
モロッコ人の話すアラビア語は「モロッコ語」と言ってもいいような、モロッコ限定の言葉なんです。
 
 
 
 
 

【 第2言語はフランス語 】

 
では外国人との共通言語は何があるかと言うと、まずフランス語が挙げられます。
公的機関の資料によっては、公用語としてフランス語がアラビア語と並んで記載されているくらい、モロッコではフランス語がメジャーです。
 
 

 
 
歴史的にも元フランス領で、フランス語教育が昔から確立されている影響も大きいのでしょう。
老若男女、ほとんどの人がフランス語も話すので、フランス語さえできればモロッコでの生活に困ることはほぼありません。
 
続いて、フランス語以外でメジャーな言語というと、スペイン語でしょうか。
特にモロッコの北部の地域は、スペイン語を話す人が多くいます。
観光地で有名な場所だと、フェズ、シェフシャウエン、タンジェなんかは、スペイン語がよく通じますね。
 
これは、スペインが地理的にも近いことが影響していると思われます。
なんたって、モロッコ北部のタンジェという港からはフェリーで40分ですから!
 
 

 
 
あとは最近、英語を話せる人も年々増えてきています。
世界のグローバル化は、モロッコでも同じ。
英語を話せるかどうかで、良い仕事に恵まれる可能性が左右されるので、特に若い人は熱心に英語を勉強している人が多いですね。
 
 

 
 
その他にもドイツ語、イタリア語、中国語・・・などなど、5カ国以上の言語を操る人もモロッコでは珍しくありません。
このレベルになると、ただただスゴイなぁと感心するばかりです。
 
 
 
 
 

【 学歴社会なモロッコ。フランス語は必須 】

 
モロッコは意外と学歴社会。
企業に就職する場合は、学士なら〇〇円、高卒なら〇〇円、のように、学歴によって明確に待遇が分けられることも珍しくありません。
 
そのためモロッコの若者は大学を目指す人も多く、大学進学率も年々上がっています。
しかし驚くのが、大学での教育システム。
なんと、モロッコの大学ではすべての授業がフランス語!!
 
 

 
 
つまりフランス語ができなければ、大学進学はそもそも厳しいということ。
そして、大学進学が厳しければ、もちろん就職も・・・。
 
このような背景もあって、モロッコの子どもたちはかなり早くからフランス語を学んでいます。
特に私立では幼稚園の頃から熱心に学ばせるところが多く、英語も小学校に上がる前から勉強するようです。
 
アラビア語が母語の子なら、フランス語・英語で、小学校に入る前に既にトリリンガルですよ・・・すごすぎ。
 
 

 
 
 
 
 
【 熱心な外国語教育に対するジレンマ 】

 
このように外国語教育は非常に熱心なモロッコ。
 
でもその一方で、モロッコ人のアイデンティティーや文化の元であるアラビア語が疎かになってしまうジレンマも少なからずあるはずです。
 
実際に夫の親戚の女性でも、「子どものアラビア語は大切!コーランはアラビア語だからね!」とアラビア語を優先的に学ばせたいという人がいます。
 
 

 
 
それとは反対に、インターナショナルスクールに通わせる裕福な家庭では、
子どもは英語が最も得意なために、アラビア語を話す母親との会話がたどたどしくなっている、
なんてケースもあるそうです。
 
 

 
 
現実的に子どもの将来を考えると、外国語教育に力を入れるべきなのはわかるのですが・・・。
 
その国独自の言語教育とのバランスというのは、マルチリンガルが多いモロッコ人ならではともいえる課題です。
「英語が話せない」と悩む日本人とは違いますが、語学教育で頭を悩ませているのは、日本の親もモロッコの親も一緒。
私自身も就学前の子どもを持つ1人の母として、子どもの言語をどうするべきかまだまだ悩んでいるところです。
 
 

 
 
 
 
 

【 最後に 】

 
あらゆる言葉を話すモロッコ人がたくさんいることは、モロッコが人気観光地である理由の一つかもしれませんね。
あっちなみに、日本語を話すモロッコ人もいますよー(レアだけど)!
 
マラケシュのフナ広場では、流行りの芸人ネタで楽しませてくれる客引きさんがたくさんいます。
モロッコを訪れる機会があれば、旅の楽しみの一つに入れてくださいね笑
 
 
 
【ユキ】
 
 

 
 
 
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次回の更新をお楽しみに~!